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スタボバ軍曹
ポーランド在住。銃や戦闘のうんちくに興味があります。

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Posted by ミリタリーブログ at

2012年01月25日

超レアポーランド軍wz2005ヘルメット

代理で落札したポーランド軍のヘルメットwz2005が家に到着しました!落札者様の許可を得ましたので、わたしから簡単に紹介したいと思います。ところで、わたしも代理落札とこのレアなヘルメットは初めてなのでちょっと緊張しました。



今回、懸念事項だったのはサイズです。オークション上ではサイズの表記がなく、出品者に質問したところ、答えが推測の範疇でしかなかったからです。日本人の約9割がLサイズ以上なので、サイズは非常にゆゆしき問題です。どうも欧米人の頭はわたしたちと比べて縦長のようです。わたしは元自なのですが、中隊の倉庫に格納されていた88式鉄帽(鉄帽と書いてありますがケブラーです...)の8割以上がLに相当する「大」かXLの「特大」でした。Mサイズの「中」は小さいWAC専用な感じでした。わたしももちろんLサイズなので、このwz2005を試しにかぶってみたところ、ピッタリでした!中隊の倉庫に一時期サイズがなかったので、Mサイズのヘルメットをかぶっていたことがありましたが正直かなり不快でした。ただでさえ重いのに、頭が窮屈だと拷問に近い感じがあります。



ヘルメットのカバーにも表記がありました。「rozm.」はrozmiar(サイズ)の略になります。サイズ表記は1~3まであり、1がSサイズ、2がMサイズ、3がLサイズになります。Pokrowiec hełmu wz.2005 はヘルメットのカバーという意味です。「wz」は「Wzór」の略であり、日本語では「〇式」や「モデル」を意味しています。つまり、「2005式」や「モデル2005」という感じなのではないでしょうか。Maskpol S.A.は製造会社です。





中身はこんな感じです。個人的にはメッシュのネットはグッドアイディアだと思います。現役の頃は多くの方が通気性の良い私物の内帽をかぶっていましたが、このように最初からネット上になっているとそのような物が必要なくなります。また、ヘアースタイルが崩れないのが最高です!88式鉄帽は中のバンドが十字状になっていたので、米海兵隊のように海苔弁ヘアーじゃないと恐ろしいことになります。内側に書いてある4/2007は製造年月日だと思います。



ヘルメットカバーに血液型が書いてありますが、リアル感があってGOODです!その横にSIWY(グレー?)という文字列が書いてあるのですが詳細不明です。



つばには油性マーカーで名前らしきものが書いてあります。




あご紐の支持は3点式です。最新型は4点式だったと思います。



外側は中古なので若干傷等がありますが、リアル感があります。




この形状はwz2005独特のものです。

今回はレアという言われているwz2005ヘルメット、しかも日本人向けのLサイズを手にすることができたので非常にドキドキしました。今後もオークションにアンテナを張っておこうと思いますが、次に出会えるのはいつになるやら...ポーランドのオークション「Allegro」には、この他にもwz2000に似ているドイツ軍のケブラーヘルメット(Lサイズ有)やイギリス軍の最新型ヘルメットMK7(XL)なども手頃な値段で出品されていますので、色々探してみるのも面白いかもしれません。

現在、わたしは試験的にオークションの代理を行っていますが、サイズなどのメール等問い合わせ、入金作業、発送作業とリスク(これが問題です。ポーランドでは郵便事故がよくあります...わたしも既に経験済みです。)を計算すると、手間賃1品目1500円、2品目以降1000円だと下手すればマイナスになってしまうので、次回から1品目を3000円に値上げしたいと思います。また、1万円を超える場合も2品目でも3000円頂きますご了承下さい。

最後に落札者の方にお礼を述べたいと思います。ありがとうございました。
  

Posted by スタボバ軍曹 at 02:36Comments(7)装備品

2012年01月15日

M4は力不足?TSXという最凶の贈り物

今回の記事は、巷で言われている5.56mm×45mm弾のストッピング・パワー不足について解説したいと思います。この問題は米国内で長年の議論となっています。この問題が最近になって注目を浴びるようになったのには、一つの決定的な出来事があります。それは近年米軍においてM4カービンが兵士のメインウェポンになったことです(海兵隊は違いますが)。M4の特徴は銃身長が短く、取り回しが良くなったという点です。これは市街地における作戦で非常に利便性が高いと言えます。

しかし、銃身長を短くすれば、銃身の中のガス圧が下がり、初速が低下します。実は米軍等が採用しているM855普通弾はミニミやM16A2などのフルサイズの銃身を想定して弾丸重量と装薬が設定されています。M855は徹甲弾ではありませんが、元々ケブラー製の防弾チョッキを着た兵士を仮想敵として想定しているため、弾心は非常に硬くできています。M855の特徴は、弾速が約823メートル毎秒を超えると、弾丸が終末弾道(人体に命中している段階)において弾丸が人体で回転して粉々になるという点です。この粉々に爆発した弾丸が5.56mm弾のストッピング・パワーの源です。上記の弾速に達していないと、弾が体内で回転した分がダメージになり、さらに弾速が下がるとまっすぐに体を突き抜けていき、ほとんどダメージを与えません。M16の銃身長は20インチ(508mm)であり、M855だと弾速が約823メートル毎秒を切るのは約150m以内の距離です。一方、M4の銃身長は14.5インチ(368mm)であり、約50m以内の距離です。つまり、M4だと交戦距離が50mを超えると、敵に弾が当たってもあまりダメージを与えることができない可能性がでてきます。これがストッピング・パワーの問題です。

もっとも、米軍等の軍隊は圧倒的な訓練量でその短所をカバーしていると思います。つまり、人間の急所である頭部などを狙い撃ちするということです。元特殊部隊員のラリー・ヴィッカーズ氏によれば、カービン銃でのヘッドショットは100ヤード(約91m)まで可能だということです(ピストルは25ヤード)。しかし、実戦では訓練時の約半分の精度しか維持できないそうです。頭部の範囲は5インチ(約13cm)なので、訓練時は100ヤードで2.5インチ(約6cm)のグルーピングで撃たなくてはいけないということです。つまり、銃と弾丸の精度を2.5MOAに抑える必要があるため(軍用銃の命中精度は2MOA、弾も2MOAなので、どんなに射撃がうまくても4MOAになり、100ヤードで4インチ(約10cm)の射弾散布になってしまいます。)、光学サイトはもちろん、カスタムされた銃とマッチグレードの弾薬が必要になると思います。ただし、銃の命中精度を上げようとすると、部品等の間隙をタイトにする必要があるため、ジャミングが起こりやすくなるという欠点が生じます。

このM4の問題を解決するには複数の案があります。通常の軍隊は指定された武器や弾薬を使用する必要があるため、上記のようにある程度は訓練量でカバーするという選択肢しかありません。ダットサイトやスコープが必需品になったことも功を奏していると思います。一方、特殊部隊は訓練の練度も既に完成の域に達しており、武器や弾薬の選択の自由がきくため、どうしているのかというと、逆に弾をM4などの短い銃身に合わせています。つまり、弾丸重量がM855よりももっと重く、装薬もその重量に適したものを使っており、そのため有効射程も伸びています。その弾丸の先は茶色に塗っているため、「ブラウンティップ」と呼ばれています。実態はTSXという銅製の弾丸であり、窓越しの射撃が可能なボンデッド弾です(通常弾だと窓に当たった時点で弾道がかなり偏向し、窓の反対側にいる相手まで届かないでしょう)。しかも、その弾はFMJでなく、ホローティップなので、当たった時点で弾がつぶれて人体に恐ろしい程のダメージを与えます。これは明らかにハーグ条約違反ですが、米軍の法務官が「武装勢力は『戦闘員』ではなくテロリストだ」という勝手な解釈を与えているため、特殊部隊のみで使用されているようです(欧州の軍は「NO」と言っています。)。究極のストッピング・パワーと言えるでしょう(笑)!

この理論をさらに拡大すると、銃身が短くても最適な弾心重量と装薬をロードできれば、ある程度射撃精度とパワーを維持できるということです。実際に銃身を短くちょん切ったスナイパーライフルでもフルサイズのと同程度の命中精度を発揮したという記事を何件か見ました。個人的には結構カッコいいと思います!

なお、米海兵隊は引き続き銃身長が長いM16A4を使用しています。やはり、米陸軍よりも射撃を重視し、実戦慣れしているからだと思っています。そして、7.62mm弾への回帰も見られていますが、その反動や重さを使いこなすためには新たに訓練を重ねる必要が出てきます。一方、5.56mm弾と7.62mm弾の中間に位置する6.5mmグレンデル弾などが議論されていますが、メーカー側の設備投資とお偉いさんの天下り先の関係という大人の事情で採用はされないでしょう。個人的にはTSXのような非人道的な弾薬が最適であり、法の解釈をスプーンのように捻じ曲げることができるアメリカは素敵だと思います(笑)。

最後に、わたしたちはどうも銃に焦点を当てがちですが、銃は弾と一心同体です。また、兵器は使用する相手、地形や任務に応じて柔軟に変えたり、改修させることが重要なのではないでしょうか。
  

Posted by スタボバ軍曹 at 01:49Comments(0)

2012年01月12日

速報!アレグロにwz2005が!

速報です。

http://allegro.pl/helm-kevlarowy-kuloodporny-maskpol-wz-2005-i2048035918.html

にwz2005が490złで出品されていました。質問したら多分、サイズ3で54~62cmだそうです。断定ではないのでちょっとリスクが
ありますが、日本人はLサイズ以上でないときついと思います。一緒に出品されていた別の新型は即決されてしまいました(http://allegro.pl/helm-kevlarowy-kuloodporny-maskpol-nowy-i2048035996.html)。こちらは質問したらMサイズなので日本人向けではないと思います。

※追記

希望者が数名あったため、わたしが落札しました。
  

Posted by スタボバ軍曹 at 16:30Comments(2)装備品

2012年01月12日

謎のAK用ストック?



先日、ポーランドのオークションサイト「アレグロ」でAKMのストックを複数購入しましたが、その際、一つだけ変わった銃床がありました。上記の画像がそれになります。真ん中にひし形のプレートを埋め込むための穴があります。最初は何かのいたずらかと思いましたが、色々調べてみると、それは何とKbkg wz. 1960というポーランド製AKの派生型でした。




ウィキペディアを引用すると、「wz. 1960は基本的にポーランドで生産されたAK-47(PMK)そのものであるが、銃身とガスシリンダーを繋ぐガスポートの左側面部にはバルブが設けられており、ライフルグレネードを発射する際にはバルブを閉じて発射ガスがガスシリンダーに流れ込まないようにすることができる(裏を返せば、この発射ガス遮断機構が無いAK-47はライフルグレネードを発射できない)。

このほかにも、銃床の肩パッドにはライフルグレネード発射時の衝撃を緩和するためのラバーパッドを装着可能となっているほか、銃本体のリアサイト基部左側面にライフルグレネード用の照準器を装着可能としている。
ライフルグレネードを発射する際には、銃口部分のねじに専用のソケットアダプター(UNM wz. 1943/60)をねじ込むとともに、ライフルグレネード専用の空包を使用する必要があり、これは通常10連発の専用マガジンに装填する。
1970年代には銃床を取り外したKbkg wz. 1960/72も生産された。」

謎のひし形の窪みは、ラバーパッドを止めるためのものでした。わたしも一度だけ小銃てき弾を発射したことがありますが、その際は地面にストックを接地してでの射撃でした。物凄い衝撃が肩に来るため、立ち撃ちだとひっくり返ってしまうとのことです(7.62mm弾)。7.62mmの場合、空砲の威力は結構あり、小銃てき弾用でしたらなおさらです。本を数十センチほど前に置けば、余裕で貫通します!また、発射ガスがシリンダーに行かないため、ボルトが後退しません。実は自動小銃の場合は、射撃時にボルトを後退させるために発射ガスが使われ、射撃時の反動の一部しか肩に来ません。しかし、この場合、ボルトが後退しないため、その反動エネルギーが肩に直に伝わります。これはボルトアクション・ライフルを撃ったことがある方ならわかると思います。わたしもTシャツと木製ストックのみでボルトアクションの7.62×51mm弾を射撃したら、痛みで5発程度でギブアップです...もっと肉を付けるか、パッドを挟めば何とかなると思いますが(同じ口径の自動小銃は楽勝でした。)。

運用面からこのKbkg wz. 1960を考察すると、やはり、小銃てき弾を射撃できるということは、分隊の火力が大幅にアップすると思います。しかも弾倉とスイッチを切り替えるだけで、小銃弾も射撃できるので、当時としては斬新的だったのではないでしょうか。現在は通常の小銃弾を利用して射撃できるブレットスルーというシステムがありますので、さらに使い勝手が増しています。実戦バリバリなイスラエル軍やフランス軍(特殊部隊がアフガンでFAMASの先に付けていました。)も頻繁に使用しているので、やはり小銃てき弾の面制圧力は戦場では手放せないのではないでしょうか。個人的には、米軍のように発射機であるM203を小銃の下部に取り付けるよりも良いのではないかと思っています。





他のAKMのストックと比較してみました。あまり変わりません。


ところで、個人輸入の参考として、ポーランドから日本までの国際航空郵便・小包の価格を掲載してみました。到着まで約1~2週間かかります。UPSやフェデックスなどの国際宅急便の会社もありますが、非常に高く大都市しかありません。わたしは田舎に住んでいるので、もちろんありません。なお、レートは1PLN=22円で換算しています。
  

Posted by スタボバ軍曹 at 02:33Comments(0)

2012年01月09日

空飛ぶホラー兵器「RPG-7」

今回の記事はアフガニスタンにおけるRPG-7について書いてみようと思います。基本的な情報はウィキペディアを見てもらえばわかりますので、あまり知られていないことを書こうと思います。記事「アフガンはPKMの独壇場?!」などでも述べましたが、戦闘はわたしたちが思っているよりも心理的な要因が大きいと推測しています。アフガニスタンでは多国籍軍にとって仕掛け爆弾とも言えるIEDが最も恐ろしい兵器だと言われています(死傷者の半分以上)。そして、戦闘において最も恐れられているのが、これから述べるRPG-7による攻撃です。

なぜでしょうか。以前述べた戦闘において相手の頭を下げさせ、その攻撃を封じる「制圧力」は音に比例すると述べました。RPG-7はロケットモーターが推進する際の独特の発射音があります。RPG-7にはさらに恐ろしい恐怖が待っています。それは飛んでくる弾が見えるという視覚的な恐怖です!RPG-7のロケット弾は初速100m毎秒から最大300m毎秒ですので、これは銃弾などど比べてはるかに遅いことになります。銃弾が飛んでいる姿は目に見えません(トレーサーは別ですが)。この大きな音を立てながら、ゆっくりと向かってくる脅威ほど心理的な圧迫感はないでしょう!映画「ブラックホークダウン」で米軍側が「RPG!」と叫んでいたのを思い出します。実は、野戦砲が出現するまでは戦闘にロケット花火を大きくしたような兵器が使われていました。アメリカの国歌である「星条旗」にも出てきます。命中精度は全然ダメでしたが、やはりその心理的なインパクトは大きかったのでしょう!相手の隊列を乱すことにより、士気を大幅に下げることができるのです。

RPG-7は風の影響を受けやすく、専用サイトによるウィンデージの調整も技量が必要なので、遠くからの射撃に適していません。イラクでもそうでしたが、アフガンでも至近距離からの襲撃によく使われるようです。米軍の装甲強化ハンビーに対しても、タリバンは窓を狙ってきているようです。



RPG-7の一般的な弾頭はPG-7であり、HEAT効果で装甲を26cmほど貫徹することができます。さらにその半径4mの人員にも破片効果で負傷させることができます。実際、多国籍軍の兵士の単価は高いため、対人用途にも使われています。上記の画像は、その破片で負傷し治療中の米軍人です(2007年、アフガン)。



RPG-7の強みの一つに弾の種類の豊富さが挙げられます。上記の写真はアフガンで鹵獲されたものですが、一番手前がイラン製のnadar、その次がPG-7S、一番奥にあるちょっとデカい3つの弾頭がPG-7VLになります。ほとんどの弾頭の信管には安全機能のアーミング解除機能があります。つまり、発射して10m飛ばないと信管が作動しません。しかし、このnadarは最強なイラン製だけあって、その機能はなく、万が一弾が筒から地面に落ちて信管に当たったら、射手はお陀仏になります...なお、PG-7VLのようにデカくなればなるほど、装甲貫徹力が増します。



おすすめは上記の写真でANAの兵士が装填させているOG-7です。これは対人弾であり、HEAT弾ではなく炸裂する榴弾(HE)です。北朝鮮の工作員が巡視船に向けて撃ったRPG-7の弾もF-7という榴弾です。もし船に着弾していれば、とんでもないことになっていたかもしれません。RPG-7のすごい点は、弾も安いため対人用途にも適していますし、ヘリなどの超高価な機材に対しても非常に効果的な点です。RPG-7の弾頭は920m飛んだ時点で自爆するため、訓練すればこの特性を利用して対空炸裂弾として活用できます。実際に榴弾のOG-7で米軍のヘリが何機も撃ち落されています。

この安価と言う点が非常に恐ろしい兵器だと言えるでしょう。以前述べたように費用がほぼゼロに近いタリバンがこの兵器を持つことで、何千万、億とする兵器や人命が失われるからです。車両の装甲を強化すればいいと思うかもしれませんが、そのために燃費と機動性が劣り、トヨタ製のピックアップトラック(ハイラックス)とバイクで軽快に出現するタリバンについていくことができません。その結果、より多くの燃料やパーツが必要になり、その分後方支援の負担が増え、脆弱なコンボイが襲撃される可能性が高まります。

ところで、アフガンでは多国籍軍が航空攻撃などで90%以上の戦闘で勝利していますが、勝って陣地を前進させても、すぐにタリバンがアメーバのように回り込んで再占領してしまうという悪循環が続いています。多国籍軍側には攻め取った陣地をキープするだけの人員がいないのです!そして、IEDや襲撃などで少しずつ人員や装備が消耗されていきます。タリバン側には国内外から多くの人員が集まっています。倒しても倒してもウジャウジャ湧いてくるなんて、ホラー映画のゾンビのようですね!





このブログの本題でもあるポーランド軍も実はRPG-7を装備しています!ミリフォトではあまり見かけないのですが、パトロール時には欠かせない装備だそうです。カールグスタフ、パンツァーファウスト3やAT4などは高価かつ重過ぎて、対装甲用途のみであり、LAWも使い捨てなので筒ごと何個も携行しなくてはならないのでいまいちです。信頼性の高いカラシニコフの内部機構を採用し、現代戦に不可欠な精密射撃を可能にさせるレールシステムとスコープを装着した西側寄りのベリルを小銃として使う一方、ロシア兵器の傑作であるRPG-7とPKMをそのまま保有するという判断は、他の国ではちょっとできないでしょう。



わたしもまたアレグロでRPG-7のヒートシールドを購入してしまいました。41zł=約923円でした。ポーランド最高です!
  

Posted by スタボバ軍曹 at 03:40Comments(9)

2012年01月06日

現代版の奇兵隊ポーランドにあり!

豚マーブルさんのブログ「家畜の挽歌」に刺激され、ポーランド軍装備にも注目し始めるようになりました。昨日、アフガンに派遣されたポーランド軍に関するブログ(http://zafganistanu.pl/)を見ていましたが、その際、ある記事の内容に目が留まりました。それはポーランド軍の装備がバラバラだという記事です。デザート迷彩、パンテラ迷彩、米軍のマルチカム、フリース、旧型・新型ヘルメット、デザートブーツ、通常型ブーツ、米軍のPX品など、個人装備に全くというほど統一性がありません。ただし、ブログの著者曰く、次の第11派遣隊の隊長は統一性を重んじるとのことですが、ポーランド人の特性を知っているわたしからすれば、それは無理かもしれません(笑)。コレクターからしたら、すべてを収集するのは非常に大変だと思いますが、逆に考えれば、ポーランド軍は指定された服や装備でなくてはならないという強迫観念が一切ないので、気軽にポーランド軍装備を楽しめるのかもしれません。個性が強く、他人と一味違った装備が好きな方にはうってつけです。まさに現代版の奇兵隊です!しかも、Helikon社などの私物を着用されている方も多く、さらに柔軟性が高まります。ミリフォトを見ると、パンテラ迷彩とデザート迷彩のヘルメットを一緒にかぶっていたり、マルチカムを着てヘルメットを塗装していたり、ここまでいくとファッションの域に達していますね!わたしも少しずつ勉強していきたいと思います。間違っていたら教えて下さい!



マルチカム(Helikon?)とパンテラ迷彩の二人組です。ヘルメットの塗装もオリジナルぽっいですね。



左の兵士はパンテラ迷彩のズボンと黒いブーツとHelikon社のフリースです。




昨年11月、第12機械化旅団のHP(http://www.12bz.wp.mil.pl)に掲載されていた国内での演習の一コマです。ミニベリルの他にAKMSが!さすがにアフガンまでAKMSを持っていくとは思えませんが、弾薬が異なる同系統の銃を同じ分隊に配置するなんて普通の軍隊では考えられません!

今年はベリルとPKMの電動ガンも発売されるようですし、日本ではポーランド軍装備はマイナーで入手しにくいと思いますので、ポーランド在住のわたしとしてはポーランド・フィーバーを盛り上げるべく、今後少しずつリーズナブルな価格でヤフオクに出品し、ロジスティックス面から支援できればと思っています。もしご希望の装備(サイズも)とそのリンク先等があれば、コメント欄やメッセージ等に書き込んでもらえば幸いです。さらに、そのちょっとした利益を銃のパーツに投資して、このブログで紹介して還元したいと思っています。よろしくお願いします。
  

Posted by スタボバ軍曹 at 22:11Comments(19)装備品

2012年01月05日

AKリアサイトの謎とシールズ



先日、AK-47用のリアサイトをアレグロで購入しました。12zł=約270円で激安すぎです。ポーランド製の特徴としては、戦闘用零点がロシア版だと「П」なのが「S」になります。戦闘用零点とはリアサイトをいちいち動かさなくても、即座に射撃するための設定です。その距離は300mになります。

このAKのタンジェント・サイトはなぜ射距離が0~800メートル(AKMは1,000m)なのかといつも疑問に思っていました。なぜなら、採用している7.62×39mm弾の有効射程は実戦で150m、人的に当てるのなら300mと言われているからです。AKの射弾散布は4~5MOAだと言われています。つまり、100ヤード(91メートル)で約10~13cm、300ヤード(273メートル)で約30~39cmになり、これ以上広がると人に命中する可能性が低くなるからです。AKが作られる前の、例えばSKSカービンのサイトも全く同じタイプなので、再訓練の手間を省くためというのが、妥当な答えなようですが、本質にせまった答えではありません。

この時代の運用体系や背景に答えがあると思います。それは、前回の記事で述べた、「制圧射撃」のことです。この時代の兵士はほとんどが徴兵され、射撃訓練もあまり積んでいなかったと思われます。また、一番の脅威は機関銃であり(今も変わっていないと思います。)、その射撃を封じるには、その近くに着弾させるだけで良いのです(制圧射撃)。この時代は一進一退の塹壕戦や平地での大規模な攻勢が主な戦闘だったと思います。そして、前進と制圧射撃を繰り返しながら、近接戦闘に移行していったのではないでしょうか。したがって、銃の運用要求を上げた軍上層部としては、敵の機関銃の射程を考慮してリアサイトの縮尺を決定したのではないでしょうか。7.62mm機関銃の最大有効射程は約1000メートルですから、AKM(AK‐47は800まで)のリアサイトも「1000」になったのではないでしょうか。

現在の兵士は、この時代の兵士に比べてより多くの射撃訓練を積んでいると思います。したがって、制圧射撃よりも実際に命中させることに主眼が置かれています。ただし、敵がバンザイ突撃でもしてこないかぎり、戦闘において命中させるのはスナイパー以外は難しいと思います。射撃はちょっとした動きでも外れてしまうので、スナイパーのように一定の場所から射撃しないかぎり弾道が大きく外れてしまうからです。銃を持ちながら前進していたら、心臓がバクバク、手もストレスでプルプル震え、遠くからは命中させることはできないでしょう。上記で述べた戦闘時の有効射程が短い理由がこれになります。

ところで、わたしはネービーシールズの隊員がアフガンでの経験をつづった「Lone Survivor: The Eyewitness Account of Operation Redwing and the Lost Heroes of SEAL Team 10(和訳:アフガン、たった一人の生還 )」 を何年か前に読んだことがあります。その内容は賛否両論ですが、その中で主人公を含めた4人のシールズ隊員が無数のタリバンと銃撃戦になるシーンがあります。シールズは地形的に不利な場所から5.56mm MK12で何十人というタリバンを撃ち殺しています。しかし、敵のAKの弾が次第に着弾するようになり、一人一人倒れていきます。ここで注目すべきなのは、多くの傷が弾の直撃ではなく、跳弾などの破片だったということです。トレーサーを撃ったことがある方なら想像できると思いますが、弾の多くは地面に当たっても跳ねてさらに遠くまで飛んでいくのです。最近、ボディー・アーマーといえばセラミック・プレートだけのプレート・キャリアーが人気ですが、米陸軍のIOTV等の通常型ボディー・アーマーの多くがとんでもなく重い理由が、プレート以外の場所にケブラーを採用しているからです。ケブラーはもちろん弾の直撃を防ぐことはできませんが、弾の跳弾や爆発物の破片を防ぐことができます。ヘルメットも同じです。上記のシールズ隊員の一人は、頭部の一部が跳弾によりえぐれてしまいました。しかし、当人物はその状態でも引き続き敵をバッタバッタ倒していったそうです。やはり、シールズ隊員の精神力はスゴイですね!もしこの人物がヘルメットをかぶっていたら、このようなことはなかったでしょうが、山岳地域だったので重量を極力減らしたかったようです。シールズ隊員の命運は....続きは本を読んでみて下さい!

ここでAKの運用思想に戻ってみましょう。AKは訓練の練度が低い大量の兵士が弾をこれまでもか!というぐらいばら撒くために作られました。実はタリバンの多くもアフガンに住んでいる職にあぶれた普通の人たちです。正規の訓練も受けていないので、コスト面から言うと限りなくゼロに近いと言えます。一方で、上記の特殊部隊員は何年もの訓練を受けてきた超エリートです。市街地戦のためには年間最低1万5000発の射撃をしなくてはいけないそうですが、その他にも降下訓練、福利厚生、残された家族への手当、装備、等々ものすごいお金がかかっています。パイロットは一人年間1億と言われていますが、特殊部隊の隊員もそれなりに高いと思います。上記のシールズ隊員は4人で80人(ちょっと憶えていません...)殺害したとしましょう。しかし、経済的な観点からは、タリバンを何千人も殺さなくては元が取れないと思います。実際、アフガンでの死傷率は多国籍軍とタリバンだと1対20ぐらいになります。米軍はこの数字を基に勝っていると述べていますが、お金という観点から計算したら大敗北に近いのではないでしょうか。

以上、AKのリアサイトの射距離がなぜ1000mまであるのか勝手に妄想してみました。AR系の精密射撃とAK系のバラマキ射撃の勝負はまだ続きそうです。やはり、数の力は侮れないですね。それと、ヘルメットをかぶりましょう!実物は重いのでキツイですが...
  

Posted by スタボバ軍曹 at 21:55Comments(2)

2012年01月03日

アフガンはPKMの独壇場?!

今回の記事は、7.62×54R機関銃PKMについて書きたいと思いますが、その前にアフガンの戦闘環境について長々と説明したいと思います。アフガニスタンではこれまでの戦闘とは全く異なることが判明しています。これまで戦闘のほとんどが300m以内で発生していると言われてきました。



上記の図をご覧下さい。これは各銃器の実戦における有効射程です。
ところが、アフガンでの戦闘の約半分が交戦距離300-900mの範囲で行われています。
そして、米軍等が使用しているM4などの短い銃身の5.56mmは200mまで、そして300mを超える初速と命中率が大幅に低下し、当たっても対人効果はあまりないと言われています。したがって、米軍がM14やその子孫であるEBRを投入している理由がここにあります。

残念ながら?、銃撃戦において弾が直撃して死傷する割合はすごく低く、射撃は「制圧射撃」によりいかに相手の頭を下げ、攻撃させないかという点が焦点になっています。
その「制圧力」は、実は射撃で発生する「音による衝撃」に比例しているのです。
そして、5.56mmは7.62mmの約半分ですので、タリバンはまさに豆鉄砲としか認識していないようです。わたしも双方の口径を射撃したことがありますが、やはりそのように感じました。以前、イラクで米軍が12.7mm重機関銃を撃ちはじめると、武装勢力がすぐに逃げていくという記事を何度も見ましたが、やはり戦闘は心理的な部分が大きいようですね。



タリバンは地の利を利用し、高台から主にPKMで射撃を加えてきます。しかも上記の画像のように土壁に銃眼口を開けて狙い撃ちしてきます。土壁は50cm以上の厚さがあるため、5.56mmはおろか、20mm機関砲でも貫通することができないことがあります。カナダ軍がレオパルド戦車を投入した理由がこのギャップを埋めるためだと感じています。NATO軍等は携行している7.62mm火器等でしか効果的に応戦できませんので、ほとんどが自らの部隊をおとりにして一定の陣地にタリバンを固定させ、航空攻撃や榴弾砲などの長射程火器で止めを刺すしか方法がないようです。救いなのは、タリバンは射撃の精度の悪さに定評があることです。殺害した死体の検死からアヘン等の痕跡がある場合が多く、ハイな状態で「アラーアクバル!」と射撃しているからでしょうか...もちろん、この状態で銃弾が当たっても持ちこたえそうです。5.56mmだとさらに分が悪いということになります。

7.62mmの火器と言えば、米軍等はFN MAG(M240)、ポーランド軍にはタリバンと同じPKMがあります!!! なお、AKも同じ7.62mmの火器ですが、弾丸が短太で装薬が少ないので戦闘における射程は150mだとも言われています。
つまり、タリバンを効果的に制圧し、ポーランドの部隊を守っている頼もしいGUYはPKMなのではないでしょうか!




上記はアフガンでPKMを携行しているポーランド軍兵士の姿です。わたしも一度実物のPKMに触れる機会がありましたが、これを携行するとなると非常に大変だと思います。




わたしもPKMのストックだけは持っていますので、紹介したいと思います。これもポーランドのオークション「アレグロ」において購入しましたが、新品で113zł=約2543円でした。合板でできているので非常に強度が高そうです。


AKMのストックと比較してみました。やはり機関銃用とあってごついですね。

最後に、わたしも日本にいた時何度かサバゲーに参加したことがありますが、その際、ゲームのルールでは機関銃と狙撃銃だけはホップありで、その他のアサルトライフル系はホップを切っていました。このゲームではやはり当時は高価だった電動ミニミの射撃が一番の脅威でした。今考えれば、このルールは実戦での有効射程をうまく再現していたのかなと感じています。次回はポーランド製のAKパーツを紹介しながら、ひたすらうんちくを語ろうかと思います(笑)。よろしくお願いします。  

Posted by スタボバ軍曹 at 21:03Comments(8)

2011年12月31日

ベリルのフォアグリップ





上記の画像はポーランドのオークション「Allegro」で購入したベリルの中古フォアグリップです。よく見ると「砂」が付いています。オークションの説明によれば、砂漠の砂だそうです。つまり、イラクもしくはアフガンで実際に使われていたということになります!値段は送料抜きで80zł=約1800円でした。



ポーランド軍の正式アサルトライフルであるベリルは何度も改修されています。フォアグリップも2004年(wz. 2004)と2008年(wz. 2008)に上記の画像のように改修されています。wz. 2004からフォアグリップにバーチカル・グリップが追加されました。しかし、レールは強度不足でレーザーサイト等の設置に耐えることができなかったそうです。wz. 2008はそれをさらに改修したということなのでしょう。しかし、グリップは人間工学についてあまり考慮しておらず、位置も変えられないのがネックです。



横から見るとwz. 2008はやはりレールがより強固になっています。




AKMのフォアグリップと比較してみました。ベリルがAKの血をそのまま引き継いでいることがわかります。



握ってみました。わたしの手は小さい方ですが、ぴったりです。



人道支援施設を開設中に周囲を警戒するポーランド軍兵士(アフガニスタン、ガズニ州、2010年12月10日、http://www.defenseimagery.mil



警戒任務に当たるポーランド兵士(アフガニスタン、2011年1月3日、http://www.defenseimagery.mil

上記の最近の画像でのフォアグリップとレールシステムはwz.2008からさらに進化を遂げています。うむ....やはり戦争における実経験がフィードバックされ進化していく姿は、まるでサイヤ人がスーパーサイヤ人に変貌するようでカッコいいですね!

次回は、ポーランド軍も採用している機関銃のPK/PKMについて書いてみようと思います!  

Posted by スタボバ軍曹 at 02:11Comments(8)

2011年12月30日

ポーランド軍と銃について

はじめまして。現在ポーランド在住のスタボバ軍曹です。ポーランド軍や銃に関することを少しずつアップさせていきたいと思います。

まず、ポーランドにおける軍の役割について書きたいと思います。ポーランドは過去にドイツやロシアなどの列強にいいように侵略されていたので、国家財政上軍縮の道をたどっている他の欧州の国と比べて、かなり優遇されています。また、今年も軍人の給料だけがベースアップしています。最近は基地や駐屯地は閉鎖されつつありますが、それでもそこら中にあります。わたしの近所にもデポがありますが、今年の夏に一部の工場以外は南部のクラクフに移転してしまいました。

ポーランド軍はイラクやアフガンにも派遣されています。わたしの知り合いにも軍人が多くいますが、彼らによると給料が10倍になるということで、お金目当てで行っている方が多いそうです。しかし、先週、アフガンで5人の兵士がIEDで死亡しました。テレビでは大々的に取り上げられていました。やはり、高収入にはリスクが付き物ですね!

AKが好きなわたしとしては、ポーランド軍のアサルトライフル「ベリル」に興味があります!実はこちらでは銃身や弾薬以外のパーツが無許可で手に入ります。AKのレシーバーやボルトがオークション等で気軽に格安で販売されているので驚きです!なお、銃本体の保有はそれなりの理由と筆記試験が必要なのでちょっとパスです。パーツを購入したら、少しずつアップしていきたいと思います!よろしくお願いします。



  
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Posted by スタボバ軍曹 at 00:21Comments(10)