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スタボバ軍曹
ポーランド在住。銃や戦闘のうんちくに興味があります。

2012年01月09日

空飛ぶホラー兵器「RPG-7」

今回の記事はアフガニスタンにおけるRPG-7について書いてみようと思います。基本的な情報はウィキペディアを見てもらえばわかりますので、あまり知られていないことを書こうと思います。記事「アフガンはPKMの独壇場?!」などでも述べましたが、戦闘はわたしたちが思っているよりも心理的な要因が大きいと推測しています。アフガニスタンでは多国籍軍にとって仕掛け爆弾とも言えるIEDが最も恐ろしい兵器だと言われています(死傷者の半分以上)。そして、戦闘において最も恐れられているのが、これから述べるRPG-7による攻撃です。

なぜでしょうか。以前述べた戦闘において相手の頭を下げさせ、その攻撃を封じる「制圧力」は音に比例すると述べました。RPG-7はロケットモーターが推進する際の独特の発射音があります。RPG-7にはさらに恐ろしい恐怖が待っています。それは飛んでくる弾が見えるという視覚的な恐怖です!RPG-7のロケット弾は初速100m毎秒から最大300m毎秒ですので、これは銃弾などど比べてはるかに遅いことになります。銃弾が飛んでいる姿は目に見えません(トレーサーは別ですが)。この大きな音を立てながら、ゆっくりと向かってくる脅威ほど心理的な圧迫感はないでしょう!映画「ブラックホークダウン」で米軍側が「RPG!」と叫んでいたのを思い出します。実は、野戦砲が出現するまでは戦闘にロケット花火を大きくしたような兵器が使われていました。アメリカの国歌である「星条旗」にも出てきます。命中精度は全然ダメでしたが、やはりその心理的なインパクトは大きかったのでしょう!相手の隊列を乱すことにより、士気を大幅に下げることができるのです。

RPG-7は風の影響を受けやすく、専用サイトによるウィンデージの調整も技量が必要なので、遠くからの射撃に適していません。イラクでもそうでしたが、アフガンでも至近距離からの襲撃によく使われるようです。米軍の装甲強化ハンビーに対しても、タリバンは窓を狙ってきているようです。

空飛ぶホラー兵器「RPG-7」

RPG-7の一般的な弾頭はPG-7であり、HEAT効果で装甲を26cmほど貫徹することができます。さらにその半径4mの人員にも破片効果で負傷させることができます。実際、多国籍軍の兵士の単価は高いため、対人用途にも使われています。上記の画像は、その破片で負傷し治療中の米軍人です(2007年、アフガン)。

空飛ぶホラー兵器「RPG-7」

RPG-7の強みの一つに弾の種類の豊富さが挙げられます。上記の写真はアフガンで鹵獲されたものですが、一番手前がイラン製のnadar、その次がPG-7S、一番奥にあるちょっとデカい3つの弾頭がPG-7VLになります。ほとんどの弾頭の信管には安全機能のアーミング解除機能があります。つまり、発射して10m飛ばないと信管が作動しません。しかし、このnadarは最強なイラン製だけあって、その機能はなく、万が一弾が筒から地面に落ちて信管に当たったら、射手はお陀仏になります...なお、PG-7VLのようにデカくなればなるほど、装甲貫徹力が増します。

空飛ぶホラー兵器「RPG-7」

おすすめは上記の写真でANAの兵士が装填させているOG-7です。これは対人弾であり、HEAT弾ではなく炸裂する榴弾(HE)です。北朝鮮の工作員が巡視船に向けて撃ったRPG-7の弾もF-7という榴弾です。もし船に着弾していれば、とんでもないことになっていたかもしれません。RPG-7のすごい点は、弾も安いため対人用途にも適していますし、ヘリなどの超高価な機材に対しても非常に効果的な点です。RPG-7の弾頭は920m飛んだ時点で自爆するため、訓練すればこの特性を利用して対空炸裂弾として活用できます。実際に榴弾のOG-7で米軍のヘリが何機も撃ち落されています。

この安価と言う点が非常に恐ろしい兵器だと言えるでしょう。以前述べたように費用がほぼゼロに近いタリバンがこの兵器を持つことで、何千万、億とする兵器や人命が失われるからです。車両の装甲を強化すればいいと思うかもしれませんが、そのために燃費と機動性が劣り、トヨタ製のピックアップトラック(ハイラックス)とバイクで軽快に出現するタリバンについていくことができません。その結果、より多くの燃料やパーツが必要になり、その分後方支援の負担が増え、脆弱なコンボイが襲撃される可能性が高まります。

ところで、アフガンでは多国籍軍が航空攻撃などで90%以上の戦闘で勝利していますが、勝って陣地を前進させても、すぐにタリバンがアメーバのように回り込んで再占領してしまうという悪循環が続いています。多国籍軍側には攻め取った陣地をキープするだけの人員がいないのです!そして、IEDや襲撃などで少しずつ人員や装備が消耗されていきます。タリバン側には国内外から多くの人員が集まっています。倒しても倒してもウジャウジャ湧いてくるなんて、ホラー映画のゾンビのようですね!

空飛ぶホラー兵器「RPG-7」
空飛ぶホラー兵器「RPG-7」
空飛ぶホラー兵器「RPG-7」

このブログの本題でもあるポーランド軍も実はRPG-7を装備しています!ミリフォトではあまり見かけないのですが、パトロール時には欠かせない装備だそうです。カールグスタフ、パンツァーファウスト3やAT4などは高価かつ重過ぎて、対装甲用途のみであり、LAWも使い捨てなので筒ごと何個も携行しなくてはならないのでいまいちです。信頼性の高いカラシニコフの内部機構を採用し、現代戦に不可欠な精密射撃を可能にさせるレールシステムとスコープを装着した西側寄りのベリルを小銃として使う一方、ロシア兵器の傑作であるRPG-7とPKMをそのまま保有するという判断は、他の国ではちょっとできないでしょう。

空飛ぶホラー兵器「RPG-7」

わたしもまたアレグロでRPG-7のヒートシールドを購入してしまいました。41zł=約923円でした。ポーランド最高です!




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Posted by スタボバ軍曹 at 03:40│Comments(9)
この記事へのコメント
RPG7の携行は多いですよねー。

アフガンはおろか、戦闘が想定されにくいチャドの憲兵部隊等でも携行しているミリフォトが多く見られます。

RPGもポーランド軍装には是非欲しい一品ですが、エアソフトのRPGは決定版が無い所が・・・

銃撃下でのRPGによる援護は頼もしいでしょうね。
よくミリタリー動画などで米兵がAT4を撃ち込んだあとに歓声を上げている動画がありますが、あの力強さと頼もしさなら思わず叫んでしまうことでしょう。
Posted by 豚マーブル豚マーブル at 2012年01月09日 20:25
豚マーブルさん

いつもコメントありがとうございます!

戦闘が想定にくいチャドでもRPGが携行されているということは、抑止力として利用しているのかもしれません。

エアーソフトだとRPGの火力を再現するにはちょっと難しいかもしれませんね。

掩蔽している敵を制圧できる兵器は、歩兵にとって天の恵みだと思います。AT4の火力はすごいものがありますが、単価が高すぎです!アフガンでは英軍が1発1000万もするジャベリン対戦車ミサイルをガンガン撃っています。1発必中なのですごいとは思うのですが…。
Posted by スタボバ軍曹 at 2012年01月09日 21:00
エアソフトだとRPGはある種ネタ兵器ですもんね

4枚目の写真のRPGより後ろの靴が気になってしょうがないです
あのペナペナしてそうな感じがとってもイイです
Posted by コーラ at 2012年01月11日 00:38
コーラさん

そうですね、なんかコンバースのキャンバスシューズのようにペラペラしています!ブーツの多くは蒸れて大変ですから、通気性をメインで考えたのかもしれません。
Posted by スタボバ軍曹スタボバ軍曹 at 2012年01月11日 01:12
今回も面白く読ませて頂きました。
なるほど~。
サバゲではネタ武器としてたまに見る事はあります。

それにしても、RPGのパーツ価格が異常に安いですね(笑)。
Posted by sachiman at 2012年01月11日 05:12
これはまた今回も濃い内容でいい考察になりました。

RPGはかなり安価で効率が良い兵器だったとは・・特にアフガンなどの写真で見る小さい弾頭が効果があるとは意外です。

しかしイラン製の弾頭は・・ガクブル

と言うことで総括RPGはコストパフォーマンスが優秀と!
Posted by saka at 2012年01月11日 11:27
sakaさん

ありがとうございます。

ただし、RPGの射手は反撃されやすいという致命的な欠点がありますので、射手の単価も安くなくては効果がありません。

イスラムには「アラー」のご加護がありますので、安全装置はいらないのかもしれません...RPGの射手は筒をいつも上に向けている理由はここにあります。アフリカの射手などは弾頭に付いている安全装置のプルタグを付けたままで携行しています。瞬時に射撃できませんが、多分、以前落ちて痛い目にあったのかもしれません。
Posted by スタボバ軍曹スタボバ軍曹 at 2012年01月11日 19:11
ブログ読ませていただきました。すごく面白いですねぇ
RPGってFPSのゲームでも重宝しますよねぇ、サバゲーで撃ちたいですわぁ
Posted by 二等兵見習補佐ナガシマ二等兵見習補佐ナガシマ at 2012年02月07日 22:43
二等兵見習補佐ナガシマさん

ありがとうございます。戦いは心理的な部分が非常に大きな部分を占めています。RPGをサバゲーでうまく活かせたら、さらにおもしろくなりそうですね。
Posted by スタボバ軍曹スタボバ軍曹 at 2012年02月08日 05:57
 
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